テロとの戦い
数日前にBBCの放送で、イギリスのミリバンド外相が「テロとの戦いは間違いだった」と演説しているのを見て、驚きました。発言自体は驚くべきものではありませんが、イラク侵攻などでアメリカと常に共同歩調を取ってきたイギリスの外務大臣が、ブレアの後を引き継いだ労働党政権であることは変わっていないのに、率直に誤りを認めたのは、意外でした。
内容を詳細にきいたわけではありませんが、「テロとの戦い」を標榜することによって、過激とまではいえない反対勢力を含めて、武装闘争を是とする路線に結集させてしまったというのが、ミリバンド外相の主張のようです。
古くはシーザーを暗殺したブルータスにも、独裁に反対するという三分の理はあったでしょう。ヒトラーの暗殺を企てたドイツ軍の将校は、テロリストと決めつけていいのでしょうか。浅学非才の身には、断定することは困難です。
そのような道義的理由とは異なり、ミリバンド外相の反対理由は、政治的にもマイナスだったということのようです。
退任演説でブッシュ大統領は、9・11直後のアメリカ国民の感情を引いて、決断は間違っていなかったと弁護したようです。その後の推移を見れば、政治的にはマイナスの判断であったことは明らかで、しかも結果論とはいえないところが深刻です。
身内ともいえるイギリスの外相からも異論が出ました。日本の政府はどう総括するのでしょうか。
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