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2009年2月 1日 (日)

カンポの宿

郵政会社が「カンポの宿」を一括してオリックスに売却するという計画が、鳩山総務大臣の横やりで白紙撤回されました。野球に例えれば、総務大臣はボールを見ずにバットを振り回したら、まぐれで当たってヒットになったというような感じがします。

オリックスの宮内さんが小泉政権の行革に関する委員会の委員だったという最初の総務大臣の反論は、筋の悪い、俗にいう「いちゃもん」の類だったと思います。その地位を利用して、一般には知りえない情報を入手したとか、もっといい条件で入札した人がいたのに不当な行為で覆した、というような事実は、少なくともこれまでに断片的に報道された範囲では、あったようには感じられません。

ある特定の施設が、「これだけの設備が1億円とは安すぎる」というのも、ど素人の感覚としてはよく分かりますが、どうしても赤字で、黒字化の見込みがないというなら、損害を最小にするために、安くたたき売るというのも経営という観点からは当然ありうる判断です。

問題があるとすれば、全国の施設をまとめて、従業員を含めて引き取ってもらうというJPの方針が妥当だったかだと思います。玉石混淆でうるより、玉だけを選び出して売った方が、全体として得だったということは、おおいにあり得ます。また、全国まとめてでなく、せめて地方別に売り出せば、入札を検討する会社も増え、競争が激しくなって、高値で落札されたという可能性はあるでしょう。

それやこれやを考えれば、郵政会社は重荷になっているカンポの宿を、損得を度外視して早く売りたい一心だったというのが、今回の混乱を招いた原因だったと思います。

見ていて思うのは、明治時代の官営の織物工場の払い下げです。当時は、未熟な産業資本を育成するため、まず官が工場を建設し、運転して見せた上で、民に払い下げるのが有効だという大義名分がありました。したがって、損得を度外視して払い下げるという行為が許されたのだと思います。

今回の売却にどういう大義名分があったのか知りませんが、損得を度外視するという点では共通していると思います。会社という名前に変わりましたが、郵政公社の考え方がそのまま残っているのだと思います。

その意味では、国民は性急な郵政民営化に賛成したツケを払うことを求められていると考えるべきなのでしょう。

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