自給率
「超整理法」で有名な野口教授は、さまざまなユニークな説で知られていますが、どこかに「自給率にこだわるのは愚策だというと、まるで非国民のように見られる」と書いておられて、日頃僕の考えていたことと同じだと思ったことを覚えています。
自給率は過度に下がり過ぎるのは好ましくはなく、下がらないような努力はそれなりにするべきだと思いますが、何が何でも死守するというものでもなく、できる範囲でという程度に留まると考えています。
自給率の確保がすべてではないことは、コメの問題を考えれば分かります。コメだけは、国内の生産が過剰で、減反しなければならないほどですが、問題山積であることは、先日の「汚染米の不正販売」で、はからずも露呈されました。
農産物は、植物と水と土地と太陽の産物ではありますが、よくいわれているように、現在の農業はそれ以外の資材を抜きには成立しないといわれています。一部の肥料・農薬などの資材、あるいはさまざまな農業機械を動かす動力の源として、石油抜きには考えられなくなっています。
石油の99%は輸入に頼らざるを得ない我が国としては、石油が途絶すれば、農業生産も存亡の危機に立たされることは否定できません。悲しいかな、それが我が国の農業をとりまく現実です。
その現実に目をつぶって、自給率を高めるべきだ、それに異を唱えるのは非国民だと決めつけるのは、わが国の伝統的精神論の悪い癖ではないでしょうか。
食糧は直接人の命を支えるものであり、農業には国土の保全という意味もありますから、経済原理、物質的基盤のみで考えることはできませんが、経済原理を曲げてまで、自給率を向上させようとするならば、どこかに歪みを生じることは覚悟しなければなりません。
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