食の安全
食の安全に関する最大の思い込みの1つは、「自然のものは安全」ではないでしょうか。人の生活に役に立つ化学物質を合成することを仕事としてきた僕は、「人工のものは安全でない」といわれると、それは少し違うのではないかと反論したくなる気持ちを抑えられません。フグの毒、キノコの毒、ヘビの毒などを挙げるまでもなく、自然・天然のものにも人にとって危険なものがあるのはいうまでもありません。
人はこれまでの長い間の経験により、危ないものを見分け、調理などによって無毒にする術を学んできたというのが正しいと思います。人工の化合物は、たかだか百年程度の付き合いしかありません。「馴染みの悪魔」か「見知らぬ悪魔」かという違いに過ぎないというのは、言葉が過ぎるでしょうか。
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