技術の開示

科学の論文、技術の特許を問わず、その目的は科学・技術の進歩です。個人には科学の論文では名誉が与えられ、個人や企業は特許では知的財産権が得られますが、社会にとってこれらのシステムを維持する効果は、新知識・新技術を開示することで、重複して研究が行われる無駄を省き、先人の成果の上に成果を積み重ねることで、社会全体の進歩を加速することです。

その原点に立ち返ると、今回の理研グループの行為は、遺憾の極みです。不正確な技術開示であることの上に、それが不正確であることを自ら認識していたような発言をしているのですから。ソチ・オリンピックのバイアスロン競技でコースの標識が正しくなかったことが問題になりましたが、それと同じように、追試ができない論文は後走者を誤ったコースに誘導し、いたずらに時間を費やさせる行為と言われても弁明のしようはないでしょう。